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日和佐 信子 写真
雪印乳業(株) 社外取締役
たんぽの感触
2004年8月2日 掲載

  徳島を訪ねたのは40年ぶりになる。父は農家の長男だったけれど農業を継がず役人になってしまった。その父の育った徳島に戦時中疎開していた。小学校まで2キロ、たんぼの道を通った。帰りはあぜ道を遊びながら帰ってきた。

  田植えも稲刈りも子どもにはみんな遊びだった。役にはたたなかったと思うけれど、手伝わせてくれた。まだ足で踏んでいた脱穀がとても面白くて気に入っていた。そして生暖かくてぬるっとする素足で入ったたんぼの感触を、まだ覚えている。少し山を行った畑ではサツマ芋を作っていた。うちの土地が適しているから特に美味しい芋が取れると祖母は言って、ふかしたサツマ芋を入れて芋もちを搗いてくれた。この芋もちはすぐいたんでしまう。少しすっぱくなりかけたその味も良く覚えている。40年ぶりの徳島で従兄弟が案内してくれて、祖父母の墓参りをした。墓も住んでいた家もそのままに残っていたが、周囲はすっかり変わっていた。2年ほどの短い期間だったけれど、この疎開がなかったらたんぼの感触を知らないままだった。私にとっていつまでも懐かしく、そして大事なものがいっぱい詰まっている2年だった。

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