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岸 康彦 写真
(財)日本農業研究所 研究員
「農の恵み」に向ける目
2005年8月22日 掲載

  最近、農家と消費者、NPO、あるいは小中学生などが一緒になって、水田の生き物調査をする活動が各地で見られます。生き物がたくさん住んでいるかどうかは、水田が良い環境を保っているかどうかの、一番分かりやすい指標と言えるでしょう。

  福岡県は今年度から、農家が環境保全型の稲作を行い、生き物調査をすることを条件に、10アール当たり5,000円を支払うモデル事業を始めました。滋賀県が昨年度から着手した環境直接支払いに続くもので、3年後に本格導入の予定だそうです。農家が自分の水田で調査するだけでなく、ボランティアたちが県下全域の水田で同じような調査をします。生き物調査を積み重ねることで、県民は農家の努力の成果を目に見える形で確認できるわけです。

  福岡県はこの事業を「県民とともに育む『農の恵み』モデル事業」と名付けました。多種多様な生き物に象徴される農業の環境創造効果を、例えば「多面的機能」とは呼ばないで「恵み」と受け止める。そこには大地や水、太陽といった自然に対する畏敬の念が感じられます。効率一辺倒の農業が忘れていたのは、そのような謙虚さでした。このごろ「もったいない」という言葉が再評価されているそうですが、「農の恵み」にもどこか共通するところがあるように思われ、とてもいい事業名だと感心しました。

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