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藤田 和芳 写真
大地を守る会 会長
自らの意思で農業を選ぶ若者たち
2005年10月3日 掲載

  日本農業の危機が叫ばれて久しい。確かに食料自給率は40%から上向く気配を見せないし、農家の担い手不足、高齢化も深刻である。

  しかし、人間が作る社会である。暗い話ばかりがある訳ではない。農村を回って見ると、若い芽が着実に育っていることがわかる。宮城県の養豚農家のT君、今年20歳の彼は一昨年父親が病気で亡くなり、高校を出るとすぐ母親を助けて後を継ぐ決意をした。

  聞けば、高校の後輩で将来を約束した彼女がいるという。彼女はまだ高校3年生。彼は、毎日軽トラで母校の正門まで行き彼女の帰りを待っている。終業チャイムが鳴ると女学生たちが群れをなして校舎から出てくる。その中から一人だけ彼女が全力で走ってきて、「ごめん、待った?」と言いながら助手席に乗り込んでくるのだ。

  二人は軽トラでそのまま豚舎に行き豚の世話をする。二人とも豚が大好きなのだ。彼女が卒業したら、なるべく早く結婚して二人で立派な養豚農家になりたいという。

彼ら若者に、かつてのような農家の長男という悲壮感はない。たとえ長男であっても、必ずしも跡取りにならなければならないという縛りが昔ほど強くないからだろう。むしろ、自分の意思で農業という職業を選択したという自負心が見られる。

  こうした若者が増えていけば、農村社会は確実に変わっていく。嫌々農業後継者になった世代が第一線から退き、自ら選択して農民になった若者が力をつけていけば、日本農業の未来は希望の持てるものになるだろう。あとは、消費 者も含めた農業の応援体制をいかに強く構築するかである。

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