日豪FTA交渉は新年から開始されるが、今年の農業関係では農政改革の本格 実施と合わせ、最大な課題である。これまでのFTA・EPA交渉と違い、初め ての農業大国であり、農産物の重要品目の「例外扱い」があいまいのまま交渉に 踏み切ったことなどから、農業関係者の不安が強い。豪州はこれまでのFTA交 渉で唯一例外を認めたのは、米国の砂糖だけであることから見ても、交渉の難航 が予想される。もし、農産物の重要品目まで関税が無くなれば、カロリーベース の食料自給率30%になるとの試算があるように、食料自給率向上を掲げた食料 ・農業・農村基本計画の破綻、する農政改革の行き詰まりなど、農政が根本か ら問われよう。
日豪FTA交渉の国内の動きをみると、ウルグアイラウンド交渉の米輸入を巡 る国内の構図とよく似ているところがある。農業大国が交渉相手だけに、経済界 では今後の米国、中国などを視野に入れ、FTA加速化の試金石として日豪交渉 を重視して、政府への働きかけが強い。それが通商産業省と農水省の意見の対 立、国内農業を犠牲にしても交渉促進を掲げる一般マスコミ論調に反映している といえよう。かってウルグアイラウンド交渉を担当した農水省の塩握二郎審議官 (当時)は(1)わが国の主張を最後まで支持してくれる国がなく、孤立した (2)国論 が統一できず、分裂していた (3)マスコミに包囲され、正確に伝わらなかった、と 語っていたことがあった。今回も(2)(3)については同じ傾向が出始めているのでは なかろうか。WTO交渉と違い、日豪FTA交渉は2国間交渉のため、国内世論 の動向が重要な役割を占める。
2度と同じことを繰り返さないために、日豪交渉による農業の影響など長期的 視点で正しく理解してもらうよう、さらに国民合意作りが重要だ。 |