WTO交渉におけるルール作りは、どこの国にも共通して適用される基準であり、関税についても徐々に削減していくものである。
一方、EPAは2国間で自由化することが原則であり、関税はゼロにするもので、WTOルールにおける例外であり、あくまでもWTOの補完としての位置づけである。
我が国は、これまでWTO交渉で多様な農業の共存と農業の多面的機能を維持するため、各国の重要品目について柔軟な取り扱いを求めてきており、こうしたWTO交渉での主張との整合性がはかられなければならないし、そうしなければ外交上の信頼を失う。
日豪EPAで我が国の利益は何か。鉱工業品やエネルギーの関税はすでにゼロであり、豪州からの資源や食料の安定供給と言っても、中国が日本より高く買うことになれば、安定供給など担保できないのが貿易の実態だろう。
現に最近では我が国は、中国やロシアに魚、豚肉、大豆などの食料やエネルギー資源で買い負けているショックな状況が報道されている。
我が国の農畜産物の関税が撤廃されると、農水省は主要4品目の小麦、牛肉、乳製品、砂糖の生産段階における直接的影響だけで8千億円と、自民党は工場、運輸など地域経済への影響も含めると損失額は3兆円に及ぶと試算している。
EPAは仲良くする単なる友好条約ではない。人、物、金融、サービスまで含む、貿易、経済全体に関する自由化協定である。
日豪の損益計算が、豪州側が黒字、我が国は大幅赤字となるような国家として将来に大きな禍根を残すようなものにしてはならない。
日豪EPA交渉は、地域経済や国土形成など消費者、国民全体に大きな影響を与える、まさに国としての形にまで及ぶ極めて重要な交渉なのである。 |