オ−ストラリアとのEPA/FTA、4月下旬に第1回の交渉が行われたが、何故、今交渉に入る必要があるのか、必ずしも明確ではない。
平成16年度の日本のオ−ストラリアからの輸入総額2兆1000億円のうち、石炭と鉄鉱石が8300億円(40%)、非鉄金属・液化天然ガスを加えれば1兆3070億円で全体の62%に及ぶ。こうした資源−鉱産原料は、すべて、すでに関税がゼロであり、そもそもFTA交渉の対象にならない。日豪FTAの意義として「資源の安定確保」がいわれるが、それは、契約生産〜適切な価格による買い取りという市場ル−ルによる以外にないのである。
他方、日本からオ−ストラリアへの輸出額1兆2770億円のうち、自動車が6670億円で半分以上(52%)を占めている。自動車のオ−ストラリアの関税は10%であり、5年後に5%になる。米豪FTAの締結によって、日本の自動車メ−カ−は不利になるという。しかし、アメリカからオ−ストラリアに輸出しうるのは、アメリカ企業の自動車だけではなく、アメリカに進出している日本メ−カ−のクルマもオ−ストラリアに輸出しうるのである。5%の関税の存在が決定的な不利益を日本の自動車企業にもたらすとは、考えにくい。
そこで、いわれているのが、「両国が民主主義の価値観を共有していること」、これに基づく「総合的な絆の強化」である。価値観の絆を強めようというのであれば、本来、それは、別次元の協力関係として行われるべきことであろう。あえて、それをFTA/EPAで行うというのであれば、首相がきちっと説明し、国民的な議論をおこなう必要がある。これが、飛ばされている。
こうした重大な問題を持ちつつも、日豪FTAの交渉開始が始まっているのである。
オ−ストラリアは、牛肉、乳製品、砂糖、小麦、コメという重要品目の対日輸出大国である。
オ−ストラリアとのFTA交渉について、自民党農林水産物貿易調査会がこれらの重要品目を "関税撤廃の例外とすべき"としたのは、当然といえる。
重要品目については、WTO農業交渉の合意結果を充てるべきである。こうした重要品目について、仮に日豪間で新たな関税削減が行われれば、それは、アメリカ・カナダ等からの同様の要求を引き起こさざるを得ないからでもある。
こうした点を考えれば、日本政府にも、WTO農業交渉を合意に向けて進めるための努力、特にアメリカ政府に関税・国内支持削減において柔軟で現実的態度を取るように促す努力が、問われていると考えられる。 |