21世紀を目前に控えた今、次期WTO交渉がいよいよ開始されようとしています。日本の学者・文化人・ジャーナリスト・消費者団体・労働組合・食品産業団体・生産者など食料・農林漁業・環境問題に大きな関心を持つ個人・NGOで組織する本フォーラムでは、この次期WTO交渉の結果が、生産者のみならず、全ての国の国民の「くらし」に影響を与えると考えています。
ここに、次期WTO交渉が開始されるにあたり、世界の生産者・消費者に向けて、次のとおり、連携のメッセージを送ります。
私たちは今、1700万ha/年の砂漠化や温暖化の進行、オゾンホールの拡大等地球的規模での環境悪化のなかで、地球人口60億人時代を迎え、地球資源の有限性、食の安全や食料危機への不安などを強く意識せざるを得ない大きな転換期に立っています。人口・食料・環境・エネルギー問題等は、地球的規模で来たるべき21世紀の重要な課題となっており、未来に対する不透明感の下に、安全や安心が切実な問題となってきつつあります。
とりわけ、私たちの「くらしといのち」の基本に関わる安全で安心できる食料の確保については、様々な問題が地球的な規模で顕在化し、時とともに重要性が高まってきています。現在、日本は国土・農地の制約条件にもより世界最大の食料輸入国であり、食料自給率はカロリーベースで41%までに低下し、国内食料生産資源の維持と有効な活用、及び生産と消費が一体となった食料自給率の維持・向上が重要な課題となっております。生産にあたっては、可能な限り、自然に負荷を与えないシステムを確立し、環境の保全など農林漁業の多面的機能を発揮することが求められています。また、消費者の食品の安全性確保への権利及び選択の保障を優先させるとともに,各国の食生活のあり様を尊重した国際規律が求められています。GMOについても、その生産・加工・流通及び表示等の各側面において、この消費者の権利を尊重したルールの確立が必要です。
次期WTO交渉では、食料輸入国と輸出国、先進国と発展途上国のいずれにとっても公平で公正な貿易ルールを確立し、世界のそれぞれの国の農業が共存できるようにすることをめざすことが、必要であると考えます。
これが達成されるには、第1に、農業の多面的機能の重要性、各国の農業の自然条件等に配慮すること。第2に、食料安全保障は、国内生産が基本であることに十分配慮すること。第3に、輸出国と輸入国の権利義務のバランスを回復すること。第4に消費者の食品の安全性確保の権利や知る権利の尊重、及び消費者参加を位置づけることが重要となってきます。
一方、森林・水産資源には、再生が可能な有限天然資源であるという他の非農産物とは違った特徴があり、適切な資源管理措置を欠いた自由貿易の進展は、世界的な資源の枯渇や環境破壊等を招くことになります。森林・水産資源の貿易ルールの検討にあたっては、林産物・水産物の持つ地球規模の環境保全上の意義や資源の持続的利用の問題等も踏まえることが、必要と考えます。
私たちは、21世紀に向かって、安全で安心できる自然と環境、豊かな食料、文化としての食生活を、次の世代につなげていくため、「くらしといのち」の源である食料と環境、そして農林漁業・農山漁村のことについて、地球という同じ船に乗っている消費者・生産者のそれぞれの立場から、あるいは都市・農村・山村・漁村のそれぞれの地域から、立場を越えて、地域を越えて、そして国境を越えて、共に考えていくことが必要であると考えます。 |