第58回 学習会の概要

 

1.日時:平成17年7月5日(火) 14001630

2.場所:JAビル8階 全中大会議室

3.テーマ:「食料自給率向上への取り組みと課題について」

4.出席者: 参加者;約70名

講師;農林水産大臣官房参事官 櫻庭英悦氏

コメンテーター;全国農協青年組織協議会会長 藤木眞也氏

        日本生活協同組合連合会政策企画部部長代理 藤井喜継氏

        日本労働組合総連合会社会政策局局長 江森孝至氏

5.概要:

(1)櫻庭参事官より、食料自給率向上への取り組み課題として、日本の食生活の現状と課題に対して、新たな取り組みが必要であること。新たな基本計画として、取り組むべき農業政策等の報告があった

(2)各コメンテーターからは、新たな経営安定対策の課題、担い手の育成、国内農産物への要望、自給率数値より自給力は必要等の意見があった

(3)その後、会場参加者を交えた質疑応答をおこなった

 

6・出席者の報告

(1)櫻庭参事官

1.別紙資料「食料・農業・農村基本計画のポイント」、「平成17年度生産努力目標の実現に向けた行動計画」「 〃 食料自給率向上に向けた行動計画」により説明があった

2.主な内容

・野菜、畜産の生産対応もあり、従来のカロリーベースに金額ベースを合わせて表現した

・昭和55年頃が理想的な食生活であったが、近年は欧米型食生活により、糖尿病等の生活習慣病が増えている

・朝ごはんを食べない人が、2030代男性が4人に1人、20代女性は5人に1人おり心配であり、今ここで日本人の健康とは何なのかを考える時期

・自給率低下の原因のひとつとして、生産実情が食生活の変化に対応できていないのではと考えている

・結果として、耕地面積は昭和30年代から半減し、生産基盤が低下している

・各地での地産地消への取り組み拡大、直売所の増加等でいろんな効果があがっている。幼少時代の食歴により味覚が形成されるので、地産地消を生かした学校給食への取り組みによる新たなスタイルを作るのも必要である

・都市部での学校給食比率が低い問題も一方ではある

・人口が多い東京、大阪、名古屋への安定流通が大切であり、大量流通と生産者と消費者との顔の見える関係をどう整理するかが大事である

・家庭食から、外食、中食比率が向上しており、加工需要や食品産業への需要対応が国産に求められているが、今の共選、共販で対応できるのか心配する。対応するには、人づくり、担い手づくりが大切である

・これまで農政は、微に入り、細に入り国が対応してきたが、これをやめることが必要。これからは地域の特徴を生かした農業政策が必要である

・9月〜10月にかけて食料自給率協議会を開催し、具体的取り組み等について検討を取り進める

(2)コメンテーターの発言

 1.藤木

 ・自給率向上のためには、農水省の取り組みだけでは出来ない。厚労省、文部科学省等省庁連携が必要である

 ・新たな経営安定対策は、兼業農家対策が不十分である。今後必要の都度政策提言していきたい

2.藤井

・自給率向上のために、消費者ニーズにあった品質の良いものをリーズナブルな価格で提供してもらいたい。そうすればおのずから自給率は向上する

・特に国産に対し、消費者は安全・安心を期待している

・日本の食生活の問題とバランスあるメニューについて、消費者はもっと学習する必要がある

3.江森

・自給率については、あまり数字にこだわらなくても良い、結果であり、自給力が大切である

・担い手をどう作るかについては、消費者、食品産業がどう選択するかの視点が必要である

 

 

7.会場との意見交換等

(1)櫻庭参事官の意見

1.藤木氏へ…今回の経営安定対策は兼業農家はやめろということではない。現在の農家の方は多くが65歳以上で10年後農家の数が半減してしまう。また、現在の農家の方は設備投資ができずにやめていく人が多く、作業受託をしてくれる人も少ない。そこで集落営農・法人経営による農地利用の必要がある。これからは地域振興と担い手育成の2輪でいく

2.江森氏へ…現場というキーワードがすごく大事。地域への仕掛け作り、サポートが大事である

(2)質疑

Q1.

米消費拡大のために生協でどのような取り組みをなされているか。またそのためのアイデアはなにかあるのか

(藤井喜継氏)

 地道に地産地消運動に取り組んでいる。お米は大家族の食べ物というイメージで、一人暮らしやお年よりはお米を炊かない。そこで茶碗一杯分のお米を炊く炊飯器を開発してほしい

 Q2.

・自給率低下と不景気・労働実態は密接な関係にあり、食のあり方を大きく捻じ曲げる要因でもある。またコスト・ヘルスの2つのファクターを組み合わせてどう捉えているか

・地産地消を学校だけでなく病院などの施設でも取り組みたいが、施設はどうしても価格を重視してしまう。この現状をどう考えているか

・日本は自給率が低下と、アジアの食糧安保をどう考えているか

(藤井喜継氏)

・食をマネージメントできない。大学生協などを通して学生に食をマネージメントする力を付けてもらう活動をおこなっている。また、食のポジションが低下している。あらためて、自立した食事とはなにかを提案し、具体的に導いていかなくてはならない

・リーズナブルというのは購入したくなるものであり、日本農業は外国産との価格競争ではなく、良い品物を作り、その良さを広めていかなければならないのではないか

(江森孝至氏)

・外食をやめろというのは難しいので、消費者が安心できる食品を作ることで理解を得るほかない。また食の豊かさの見直しと環境問題を結び付けて考えるべき

(藤木眞也氏)

・学校では現場での実際の経験を通じて、身近な食べ物に親しみやすかったが、施設ではそれが難しいのが現状である

(櫻庭参事官)

・特別老後施設に畑を作るとか、給食センターを午後も稼動させるなどの工夫は現在行われている。大事なのは食に関する正しい知識、情報をしっかり伝えることである

WTOでは、輸入国には義務があるのに対して、輸出国には義務がない。このような状況は改善されなければならない。また農地・農業用水の保全や食べ残しを減らすための運動も合わせて実施しければならない

 

Q3.

・基本法には450ha確保できれば、最低限の食料をキープできると書いてあったが本当に大丈夫か

・品目別自給率は果物だけが下がっているだけで、その他作物は上がっているか横ばいである。それなのに何故カロリー自給率は上がらないのか

(櫻庭参事官)

450haでは実際のところ無理で、プラス1200haが必要。今ある農地の保全と、放棄地等をどう元に戻すか、現在取り組んでいるが難しい

・品目別自給率は分母となる摂取カロリー数が減少しているため上がらない

Q4.

・食糧の備蓄や、価格動向の調査の実施に取り組み、食糧危機という不測の事態が起こらないようにすることが大事である

Q5.

・国の自給率試算の具体的な数値等必要データを公表して欲しい

Q6.

・耕畜連携を進めるにあたって、どのような施策が必要か

・具体的な耕畜連携の方針はどういう内容か

・肉・乳牛の餌を外国産飼料に依存している現状をどう考えているか。国産で対応できないのか

(藤木眞也氏)

・自分の家は、外国産の飼料には頼っていない。近隣の稲作農家の協力により円滑に取り進めている。しかし、わが国の実態は、稲作の産地と畜産の場所が非常に離れており、輸送に大きなコストがかかるのが問題。また稲藁は天候に左右されやすく、手間がかかるので外国産を買ったほうが低コストですむということもある

(櫻庭参事官)

・需要と供給のバランスが合わない。これからは藁と堆肥の交換におけるネットワーク作りと、機械開発、そしてマニュアル等による耕畜連携の浸透を図っていきたいが、かなり時間がかかる。

Q7.

・減反を行っている土地や地域に集約して、飼料稲を作れば飼料自給率が上がるのではないのか

(櫻庭参事官)

家畜のある場所と生産地が遠く、物流費が高くペイしないのが現状である

(藤木眞也氏)

 食用稲と飼料稲を同じ時期、近い場所に作った場合、交雑の問題がある。消毒してもコストがかかる等の問題がある。

(会場参加者)

 一番の問題は耕畜連携への補助金・助成金であり、ホールクロップサイレージにも、稲作並みの支援を行えば飼料自給率が上がるのではないか。検討の価値があるのではないのか