第63回学習会議事録
1.日時:11月29日(火)14:00〜16:10
2.場所:JAビル8F全中大会議室
3.テーマ:「有機農業をはじめとする環境保全型農業への取組と課題」
4.講師:(株)農林中金総合研究所 特別理事
蔦谷 栄一 氏
5.参加者:65名
フォーラム会員、地方フォーラム会員、一般参加者
6.概要:
(1)蔦谷氏より1時間30分程度、別紙資料「有機農業をはじめとする環境保全型農業への取組と課題」にもとづき、有機農業の概念、法制度等、発展の経過、わが国の取組の現状と最近の課題、海外での取り組み状況とEU、韓国等海外の農業環境政策、有機農業をめぐる4つの論点、わが国の環境保全型農業推進上の5つの課題等についての報告があった
(2)会場参加者からは、有機農業の認証の課題、新たな基本計画における有機農業の位置付けへの疑問、有機認証経費の負担、種子の確保等についての質問や意見があった
7.講義概要:
・有機農業の発展は第1次が70年代、第2次が90年代にあり、現在は第3次で、2000年JAS規格制定、2001年有機基準認証制度発足等があり、2005年は新基本計画が策定され、環境支払いが決定した
・有機認証件数は4319件、うち国内は3553件、海外766件である
・農産物は野菜が60%弱、米が26%を占めている
・国内生産に占める割合は野菜0.16%、米0.14%と非常に低い数値である
・米に例を取ると租収益は慣行栽培対比1.4倍あるが、経営費1.9倍、生産、労働費は1.6倍、又記帳事務に2倍位かかるが、一方収量は0.8倍と手間がかかる生産と言えよう
・エコファーマーは、16年12月現在67千人と年々増加している
・世界の有機農業作付面積はオセアニアが45%、EUが25%を占めている
・現状の有機農業を考えると、認証制度の締め付け、消費者の商品価値、付加価値の実現性が難しい事等から取組拡大は厳しい状況である。
・日本は有機農業をめざすか、環境保全型をめざすか整理が必要。モンスーン地帯の高温多湿を考えるとアジア型有機基準が必要と考える
8.主な質疑
1.Q:有機農業に取り組むためには種子の確保が先決であるが、現状は自家採取の方法しかない。もっとルールを緩やかにして有機種子が流通するように出来ないのか
A:現状のルールでは厳しい状況が続くだろう
2.Q:今回の新たな基本計画の中での環境政策は、環境にやさしい取組をしている有機農業に厳しい対応になっている。国は有機をタブー視しているように思える
又、認証経費に多額の負担が生じているが、国からは1円の助成もなく、生産振興されていない状況ではないのか
A:有機農業を全国の各地で面的に取り組んでいるところが少ないのは、対象となることが難しいためと考えられる。今後、どのように位置付けて取り組むかの議論が必要であろう
3.Q:すでに取り組んでいる有機農業者が、今回の環境政策の対象とならないならば、不公平ではないのか
A:実態を調査・確認して回答したい
4.Q:環境政策対象は、集団的な営農活動を目玉に整理されたが、有機農業への取り組んでいるひとは一匹オオカミ的な人もいるようだが、今後どのような生き方があるのか
A:有機農業を集団で取り組む事は現実的には難しいと思う。減農薬生産程度なら可能と思うが、今取り組んでいる人が、生産レベルを落とさなくて取り組めるような国の施策が必要と考える。このためには新たな特例的な措置が必要だろう
5.Q:韓国が有機農業への将来方向を示し、近年具体的に取り組んでいるようだが、日本で出来ない理由は何か
A:韓国は、ガットウルグアイラウンドへの対応が明確であった。水田農業を守る、多面的機能の重視の2本柱であり、これの実現に向けて具体的に取り組んでいる
6.Q:有機農業に取り組むためには、早急に有機農業種子法が必要と思うが
A:有機種子の圃場もない。現状は自家採取であり、拡大に取り組むならば、一定のルールや法整備が必要だ
7.Q:国の取り組みとして、やる気のある人へのサポート体制作りが必要であると考えるがどうか
A:有機農業に期待していた人からすると、やっと出てきたものがこんなものかとがっかりした人も多いと思うが、一歩ずつステップアップすることだろう
以 上