第65回学習会議事録
1.日時:2006年2月7日(火)14:00〜17:00
2.場所:JAビル8F全中大会議室
3.テーマ:「新規就農推進への取り組みと課題について」
4.講師:全国農業会議所 新規就農相談センター所長 中園 良行 氏
事例発表:静岡県南伊豆町 谷 洋一郎 氏
茨城県つくば市 山本 昌宏 氏
5.参加者:45名
フォーラム会員、地方フォーラム会員、一般参加者
6.概要:
(1)中園氏より1時間10分程度、別紙資料「新規就農推進への取り組みと課題について」および別冊「農業をやってみませんか」、「iju info」にもとづき説明があった
(2)続いて、新規就農者の谷氏、山本氏より、別紙資料「発表者のプロフィール」にもとづき事例発表があった。
(3)その後、参加者と質疑応答・意見交換を行い17:00に閉会した。
7.主な質疑等
1.Q:事例発表の中にJAの話が出てこなかったが、例えば営農指導等JA
との関わりはどうか。
A:(山本氏)出資金3万円払い組合員になっているが、JAとの関わりは
直接的にはない。改良資金、近代化資金を借り入れするにあたり口座設定する必要があるので、JAが窓口になっている。農産物販売は直接販売しており、JAは通していない。またこれまでJAの営農指導は受けていない。
(谷氏)就農1年目であり組合員にはなっていない。資金も借りていないし
技術指導も受けていない。JAが営農指導をしているという話は聞いていない。直接消費者へ出荷している。しかし、JA青年部に所属しているのでこの付き合いや農機具の修理でJAに世話になっている。
(中園氏)販売ルートは作物によって大きな差がある。施設野菜が主産地形成されており76.3%がJAを通している。酪農は100%。その他路地野菜、稲作は30〜50%程度である。
特に路地野菜は69.6%が消費者に直接というのが、新規就農者の形である。JAとの関わりについては、地域によりいろんなケースがある。受け入れ窓口が、JAという地域もある。
2.Q:自分は、地元農協・市に相談して就農し、営農については、農薬・肥料に関してなどJAに一番相談に行く。意欲ある担い手作りにあたり、JAとの連携作りのお話をしていただきたい。
また、谷さん、山本さんのような有機農業者は非常に頑張っているので、担い手づくりの一つとして支援が必要である。
A:(中園氏)日本農業を担う一人として必要であり、コーディネイト出来るように取り組みたい。
(山本氏)担い手確保の点からいうと、今の時代の方がフォーラムとかイベ
ントがあり、就農への道筋が分り易くなってきているが、重要なのは定着する人を一人でも二人でも増やしていく事である。行政が、最低10年位定着までのサポートを資金援助等してくれれば状況は変わると思う。
3.Q:農業技術能力評価制度という話に興味を持った。実務経験、擬似体験については、酪農は東京では1ケ所であり、このテストは現物を見ていないなかでの実施になり問題があるのではないのか。また、安定した農業所得1,000万円とあるが高いハードルではないのか。谷さん、山本さんはそのあたりはどうか。
A:(中園氏)導入にあたりいろんな意見があったが、一般的な農業に対する認識や理解が必要であると考え、農業全般の基礎的事項・知識の向上として学力テストを導入した。具体的にはやってみないとわからない面もあると思うので、状況を見ながら又検証したい。
農業所得1,000万円には畜産収入の300〜500万円が入った数字である。
(谷氏)所得はあればあるほどいいというようには考えていない。できるだけシンプルな生活をしたいと思っている。将来、子供ができるとかになると大変ではあるが、売り上げで300〜500万円あれば充分な暮らしができると思っている。
(山本氏)所得1,000万円は目標であるが、売り上げが1,500万円くらい必
要となる。現在は月60〜120万円をいったりきたりという状況であり、このうち経費は30%くらいかかっている。
4.Q:世間ではふるさと回帰の話がでてきているが、団塊の世代への取り組みをどう考えているのか。また、谷さん、山本さんは、営農や自給をしながら生活されているが、現在の農村や地域社会の実態をどう見ているのかを教えてほしい。
A:(中園氏)会議所としても連携しながらやりたいと考えている。
相談に来る人の中には定年間近の人も多い。田舎暮らしの観点から、各自治体への問い合わせもあり高まりが見られている。
自治体等と連携し、この11日(土)に池袋サンシャインでブースを設けてイベントを実施するので奮って参加願いたい。
(山本氏)つくばの場合は、都市農業であり、農村と新住民が混在している。
代々やっている人とここ数年やってきた人とがいる。地域は班分けされており、私の班は新規住民の集まりである。ずっと住んでいる人と新しい人とがどう接していったらいいかは、挨拶も含め基本的おつきあいをしていけば、無理に溶け込もうとしなくとも良いのではと思っている。
(谷氏)南伊豆は過疎化、高齢化がものすごく進んでいる地域である。移住
農業者はいないが、気候もよく温暖でもあり定年移住者、芸術家、サーファーとかの移住者もいる。一部では溶け込もうとせず、対立している人もいる。
私は農業で生計を立てる必要があり、田畑を貸してもらっているので、消防団に入ったり、青年団に入ったりし地域に溶け込もうとしている。また、一方、都市生活が長かったこともあり、移住者の人々とのネットワークも作っているが、特に両者の架け橋になろうとは思っていない。
5.Q:谷さん、山本さんともに働き盛りの就農者であり、頑張ってほしい。山
本さんの話の中で「疲れた」、「10年後やっているかわからない」との報告があったが、意欲を持ち続ける支援、仕組みを作っていくことが大事ではないか。就農参入の仕組みはあるが、続けていくネットワークはどう作られているのか。
A:(中園氏)埼玉小川町の田下さんが会長の新農業人ネットワークの交流会(年1回くらい新規就農者の集まり)で悩みを聞いたり、教えたりの取り組みをしているが、体系的な取組みや仕組みはない。
(谷氏)ネットワークは、就農前に各地を回った時お世話になった人々に電
話で聞いたり、有機農業の人々の集まりに参加したり、地域のおじいちゃん・
おばあちゃんに溶け込んでいったりしている。
(山本氏)始めた当初は、就農の夢が実現して燃えに燃えていた。実際に就農して6年目位になると色々と見えてきた。所得も増やさないといけない、ずっとやって来た人と同じ事をやっていてはダメ、どうしたらいいのかまだ分らず、不安もあるが、共通目標を持ち日々話し合えるネットワークが出きれば良い。
農業経営は基本的には個々独自経営であるが、地元に近い地域でのネットワーク作りが必要だと感じている。作物作りや販売等共有した仲間づくりまでできないと、なかなか長続き出来ず、安心もできない。
以 上